2017年 06月 19日
津軽三味線ライブ「あいや」 津軽三味線の演奏を生で聞くのも今回の旅行の楽しみでした。 津軽三味線を聞く機会は2度ありました。1度目は旅行3日目の夜、津軽三味線の生演奏を聴きながら酒や食事を楽しむ店、弘前市の「あいや」です。弘前市の街をめぐり歩いた後、食事を兼ねて寄ってみました。 店内はさほど広くありません。席の数は30席ぐらいだったでしょうか。奥の舞台から2列のテーブルが作られています。私たちの隣のテーブルは建設関係の企業の接待といった感じで、たくさんの料理が並べられ、会話も弾んでいました。もう一方の列の人たちは、演奏を聴きに来た旅行者だったように思います。注文する料理はややつつましい感じで、静かに演奏が始まるのを待っているようでした。 しばらくして、いよいよ7時ぐらいに演奏が始まりました。演奏者は3人で、中心は「渋谷和生」さんという方です。後で経歴を調べたら津軽三味線の全国大会で優秀な成績を収めたプロの演奏者です。この他に男女二人の若手演奏家がいます。将来のプロの演奏家を目指して、稽古に励みながら生活するための資金を稼いでいるということです。何をやるにしてもプロとして自立するのは大変なことです。 演奏はとにかく素晴らしかった。目の前数メートルのところで激しく三味線をかき鳴らしているのです。また静まり返った中で、かすかに聞こえるように、三味線を泣かせるような演奏が行われます。最後にはお客さん全員に赤い布をかぶせて渋谷さんの太鼓、若手演奏者の三味線で場を盛り立てます。 演奏もいいのですが、こういう場ではまた語りがいいですね。渋谷さんは津軽三味線を解説し、自分のライバルについて語ってくれました。また、若手は自分がここに来た道を語ります。そんな話を聞きながら演奏を聴いていると、ますます演奏に引き込まれていきます。いい時間を過ごすことが出来ました。 津軽三味線会館 津軽三味線を聞くもう一つの機会は金木の「津軽三味線会館」でした。 斜陽館のすぐ目の前にあります。入場券も斜陽館とセットになっていて、斜陽館を訪れるのなら、ぜひとも三味線会館も訪れてください。立派なホールで一流の演奏者の生演奏を聴くことが出来ます。 私たちが訪れた時、客は私たちを含めて7~8人でした。もったいないように思いますがしょうがないですね。一番前の席に座り、聴くことが出来ました。演奏者の方は、人数にかかわらずとても熱心に演奏してくれました。それは気迫でわかります。 かつて渋谷の「ジャンジャン」で高橋竹山が津軽三味線の演奏会をやっていました。私は実際に行ったことはありませんが、渋谷という土地柄もあって、結構若者にも受け入れらていたように思います。そして、1990年代ごろからは上妻宏光や吉田兄弟など、若手の演奏家がたくさん出てきました。特に上妻宏光は三味線や和太鼓にエレキギター、ベース、ドラムスなどで編成したグループ「六三四」を結成し、津軽三味線のイメージを大きく変え、若者の支持を得ました。私もそんな津軽三味線を好きになっていたと思います。 しかし、今回津軽三味線の発祥の地と言われる金木を訪れ、そして津軽三味線会館の展示物を見ることによってそのイメージが大きく変わりました。津軽三味線は、この津軽の地で男性視覚障碍者の門付け芸として生まれたことを知りました。それを受け継いで発展させてきたのも男性視覚障碍者の皆さんだったのです。少しでも強い印象を与えたい、貧しい音響環境の中でより遠くまで音を届けたい、そのためにより強く、より大きな音での演奏になったと言われています。 さらに、津軽三味線が今のように広く受け入れらるためには、三橋美智也などの尽力が大きかったことも知りました。そして、その三橋美智也自身も幼少期、貧困と闘いながら音楽の道を歩んできたことを知りました。 津軽という厳しい自然環境、そこで視覚障碍者が生きていく事の厳しさ、津軽三味線にはそんな背景があることを知りました。金木に来てよかった。津軽三味線会館を訪れてよかった。そんな思いを強くしています。
by sanpo-sanpo
| 2017-06-19 22:04
| 街歩き(東京・関東以外)
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